中国の地方、貿易戦争に焦り 投資求め日本に秋波

中国の地方政府が日本企業に投資や進出などを求め「ラブコール」を送っている。米国との貿易戦争が経済に悪影響を及ぼすなか、日本との連携に活路を見いだそうとしている。先頭に立つのが、「親日の街」と呼ばれる東北部の遼寧省大連市だ。

日本の食品を専門に展示販売する施設が開業する(遼寧省大連市)

大連市で10月17日、中国で珍しい日本の食品を専門に展示販売する施設が開業する。建物は4階建てで、現地で人気の菓子や酒、海産品などを並べる。中国国有食料大手、北京首都農業集団(北京)の系列会社が1億8千万元(約27億円)を投じて新設・運営する。

事業を全面支援するのが大連市政府だ。施設の近くに検疫・税関事務所を設けることで、陸揚げした商品を新鮮なまま保管しやすくした。「大連市には日本の食品販売により大連経済を盛り上げたい思惑がある」と関係者は指摘する。

中国ネット通販の京東集団(JDドットコム)が2割出資する貿易会社フランクジャパン(東京・港)が輸入の窓口役だ。日本食品を輸入して中国ネット通販や小売りに商品を卸す。

外務省によると大連市は日系企業の拠点数が1550(2017年10月時点)と世界の都市で3位。もともと日本びいきの街だったが、その傾向が強まった。

大連市政府の呼びかけで4月に開かれた、日本企業と市政府による初めての対話の場。「きれい事を言うな。解決できそうなことは早急に着手しろ」。市長は市政府側の担当者に怒声を上げた。「市長は日本との連携強化に本気だと感じた」(日本側の出席者)

市は外資の投資呼び込みに必死だ。日本電産が4月に大連に新工場をつくることを決めた際は、市側がレンタル工場を用意した。中国の国有航空会社による直行便も増えている。8月に大連―北九州便を、11月に仙台便を就航させる。

大連以外の地方政府も「日本詣で」に熱心だ。4月以降、江蘇省や吉林省などの幹部が相次ぎ来日した。「日本で19年に開かれた投資誘致のための説明会は前年より多い」(日本国際貿易促進協会)。安徽省池州市や四川省自貢市などマイナーな地方政府の担当者も説明会準備のため訪日し、日本側が断ったほどだという。

「地方が日本に秋波を送るのは中央政府の指示があるためだろう」と、日中関係筋は推測する。貿易戦争で中国から東南アジアなどへ工場移転が進み、危機感を強めているとみる。
「日本企業が歓迎されている今がチャンス。(新規事業などの)弾を撃ち続けていく」と、丸紅幹部は話す。貿易戦争の先行きは予断を許さないが、あえてリスクをとって中国で勝負する企業があってもいい。(大連=渡辺伸)(アジアBiz 日本経済新聞 電子版)

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